《短》森田の女嫌いも何のその。
自販機から出てきたスポーツドリンクを抱えて、るんるんとサッカー部の部室前へとやって来た私は、
勢いよくドアをノックしようと右手を構えた。
「江菜ちゃん誘ってくれた?」
…ん?
ドアをノックする寸前。
私の耳に聞こえてきたのは、恐らく私の名前で…それを発したのはもちろん森田じゃない。
「あぁ……一応。」
続けて聞こえてきた声は森田の声で、やっぱり今のは私のこと?…と、ドアをノックするはずだった手は行き場を無くし、ぶらんと力が抜けた。
「まじかよ!来てくれるって?」
「あぁ。」
「良かったじゃん!柄本(エモト)」
「やべぇ、緊張してきた。さんきゅー森田!!」
ドアの向こう、サッカー部の部室から聞こえる声は森田くんの他に2人。内1人は柄本(エモト)くんと言うらしい。
少し考えてみるけど…だめだ。
全然、分かんない。
そして、そんな3人の会話に、さっきからモヤモヤと嫌な予感がして仕方ないのはどうしてだろう。
ドアの外に私がいるなんて予想もしていない3人の会話は続いて