《短》森田の女嫌いも何のその。



「でも、本当にいいのか?朔。」


「あ?」


柄本くんの言葉に、森田が"何が?"みたいな空気を出したのがドアの外にいても分かる。


「…女で傍に置いてるの、江菜ちゃんだけじゃん。」


「別に好きで傍に置いてるんじゃねぇし。アイツが勝手に付きまとって来てんだろ。」


────ズキン


森田が間違ったことを言ってるわけじゃないのに、勝手に痛む私の胸はどれだけ自分勝手だろう。


「…じゃあ、好きじゃないんだよな?もし、俺が告っても後悔しねぇんだな?」


「当たり前の事聞くな。」


「…そっか。あー!明日 緊張する!…って、俺スタメンじゃねぇからベンチだけど。」


どこか安心したような柄本くんの声。


「確かに!ベンチの癖に試合見に来てもらうとかウケんだけど!」


「うっせぇ、鮎川!学校で告るより…雰囲気出ていいんだよ!」


立ち尽くす私を残して尚も続く3人の会話。

私への気持ちを一切ためらうことなく否定した森田の声が脳内でリピート再生されて…少しずつ目頭が熱くなってきた気がする。



つまり、森田が私を試合に誘ってくれたのは…柄本くんに頼まれたからなんだね。


森田の意思で、誘ってくれたんじゃないんだね。


あーあ、自惚れて…恥ずかしい。
泣くな、泣くな。


差し入れて帰ろ。何も聞かなかったことにして帰ろう。
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