《短》森田の女嫌いも何のその。
そう思って、再びノックしようと構えた手は
「ところで、朔!明日 美月ちゃん見に来るのか?」
そんな柄本くんの声に、再び力をなくした。
「来るよ。昨日 試合見に来いって伝えた。」
「良かったじゃん!喜んでただろ。」
何やら楽しそうな柄本くんの声に、
「美月が喜ぶのはいつもの事だろ。昨日も伝えたら抱きつかれたし。」
どこか嬉しそうな森田の声が聞こえる。女の子の名前を…それも下の名前で。
こんなに親しげに呼ぶ森田に激しく動揺してしまう。
…抱きつかれた。
そんな関係の子がいたなんて知らなかった。
「相変わらずラブラブだな〜。俺も会いたいな、美月ちゃんに。」
「アホ菌移るからやだ。」
「はぁ?ひで〜!」
だめだ、もうだめだ。
我慢してたのに…せっかく笑顔でジュース渡して買えるつもりだだったのに。
気付けば私の頬を伝う温かい何かを、拭うことすら出来ずに立ち尽くす私。
この前買ったシュシュも、その子にあげたのかな。
止まらない涙と、止まらない森田への気持ち。止まらない嫉妬に、止まらない嫌悪感。