《短》森田の女嫌いも何のその。


「…昨日、部活に集中出来なかった。

サッカー始めてから、初めて。
サッカーしながら他のこと考えてた。」



私の目の前には、ユニフォーム姿の森田がいて。


私の質問とは全然関係ないことをペラペラと話し始めた。



「試合前最後の練習なのにコンディションは最悪。監督にも顧問にも怒鳴られた。

スタメンイレブンなんて呼ばれて…普段は周りからの圧に潰されないようにってそればっかり考えてんのに、

怒鳴られた時だって、今日の試合の事より…ただお前の泣いてる顔だけが頭の中埋め尽くしてた。」



…森田は何が言いたいんだろう。

少しだけ苦しそうに、それでいて私から目を逸らすことをしない森田が、


どんな気持ちで言葉を紡いでいるかなんて、全然分からない。


ただ、今ここで森田から逃げるのは絶対に違うと思う。だって、こんなにも真剣に私と向き合う森田は初めてだから。


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