《短》森田の女嫌いも何のその。


「女は嫌い。面倒くせぇし、すぐ自分の理想ばっかり押し付けて来て、理想と違うって分かれば離れてく。」


地面へと視線を下げた森田が、それでもポツリ…ポツリと紡ぐ言葉を


聞き逃さない様にと、全部の神経を大好きなその声に集中させる。


「どうせお前も雑用係なんて面倒なこと、すぐに嫌になると思ってた。つーか、早く嫌になって離れてけばいいって思ってた。

…また面倒な奴に好かれたな、って…そう思ってたのに。」


再び私に向けられた森田の視線は、ほんのり熱を持っていて、

何故か見つめられてジワジワ恥ずかしさに襲われていく。


「…何が好きなの、俺の。

俺なんかの何が好きで…お前はそんなに頑張んの?」


……私が森田を好きな理由。
そんなの、いっぱいあるよ。

いっぱい、いっぱいあるよ。
< 24 / 31 >

この作品をシェア

pagetop