《短》森田の女嫌いも何のその。


ほら、例えば


「バカなところ。」


「は?」


私の答えに不服そうな森田は、眉間にシワを寄せて、"あー、なんか力抜けた"なんて言いながらその場にしゃがみ込んでしまった。


「森田。」


「ん?」


「理由なんて、ない。好きだから。」



いつか森田が私に言ったセリフそのまま返す。知れば知るほど好きだなって思う部分は増えていくけど、


好きになった理由なんて、言っちゃえば特にないんだ。あの日、サッカーで活躍してるわけでもない…ボール磨きしてた森田に、恋に落ちてしまったんだもん。


好きだから好き。それじゃダメ?


「………っ、」


「森田がいいんだもん。森田に名前で呼んで欲しかったし…森田のことも名前で呼びたかった。


理由がなくても会える…そんな関係になりたかった。」


まぁ、そんな夢物語は儚く散りましたけど。
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