《短》森田の女嫌いも何のその。
「ならもう俺に話しかけんな。」
心底うざったそうに口を開く森田に、口を尖らせる私。
「それじゃ距離が縮まらないじゃん。」
「縮める気なんかこれっぽっちもない。」
それだけ告げて、スタスタ去っていく後ろ姿は制服のブレザーで
部活中なら背中に『11』を背負ってるのにな〜…なんて、
結局 頭ん中は常に森田でいっぱい。
あーあ…今日もダメかぁ。
もちろん昨日もダメだったし、きっと明日も99%ダメ。
ここ1週間、私が頑張っていたのは
『女嫌いの森田に、何とか女嫌いを克服してもらおう大作戦!!』
でも、ここまで来るとむしろ逆効果な気すらして来た。
分かった、もういいよ。
森田と両思いになりたい!!って言う願望は忘れることにする。
その代わり、森田が好きって気持ちはやっぱり、消せそうにないから…勝手に好きでいる!
どう?これで文句ないっしょ。
かなり遠くなった森田の背中に、ふんっと悪態をついて、でも頭の中はやっぱり好きでいっぱいで。
そんな自分に尊敬の念すら芽生え始めたけれど
とりあえず、決めたことは
『ただ、好きでいる。』それだけ。