下村係長と同期の榎本くんの、シェア彼女…!?
会話も繋がったままの手もそれっきり。


隣が榎本くんじゃないのにドキドキするのは、きっと告白した相手を間違った焦りからで。


“オカズ”なんて言った下村係長の下ネタのせいで。


何をしても余裕しか感じさせない男の人の色気に惑わされているから…ではナイ。


そりゃ、ちょっとパーマがかかった柔らかそうな髪してる、し…。


切れ長の目は37歳だったかな…悲壮感と哀愁を秘めたような奥深さがあったり。


緩めたネクタイの奥の喉仏がセクシーだったりする…ケド。


だからって下村係長は間違った告白の相手であって、榎本くんじゃない。


ちゃんと説明しなきゃ…わかってもらえるはず、だし…うん。


あれこれ考えを巡らせている間にタクシーはわたしの住むアパート前、着。


ここでもまごつくわたしより先に下村係長が支払いを済ませ、203号室、鍵を開けた途端。
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