下村係長と同期の榎本くんの、シェア彼女…!?
「おはよう、榎本。オレの晩メシちゃんに何か用?」


「晩メシ…?」


「そ。コイツ、オレの」


「「はッ!?」」


「何、カナ。“身も心も捧げた”仲じゃねーの?」


「か、係長ッ!!誤解されますッ」


出勤中の職員がわたし達3人をジロジロと無遠慮に眺めては、コソコソ話して通り過ぎていく。


ヤバイ…ヤバイですっっっ!


「カナのテク、なかなかだぜ?」


「げ、下品な言い方、やめてくださいッ!!」


「加奈…ちゃん…?」


「あ、あのね、榎本くんっ。わたし間違…いや、間違ったワケじゃないんだけどっ。でも、ちょっとした行き違いというかミス…そう、ミス!いつものミスでねっ、わたしちゃんと訂正できないまま晩ご飯になっちゃっただけで!」


「下村係長の…?」


「じゃなくてっ!わたしは晩ご飯じゃなくてっ。だからね、あのねっ」


「あのさ、加奈ちゃん」


「違うのッ!」


「ボク、加奈ちゃんのこと、好きだったんだけど」


「そうじゃなくて好きなのは…!───…ハ、ハイ…?」


「ていうか現在進行形で、好き。ずっと待ってたんだ、加奈ちゃんから気持ち聞きたくて」


「オイ、榎本。お前さ、なんでオレのモン欲しがるワケ?」


「下村係長、悪いですが加奈ちゃんは譲れません」


「言っただろ?もうオレの。カナ、行くぞ」


下村係長はわたしの手を取り、所属する課とは真逆の方向の駐車場へ足を向ける。
< 17 / 68 >

この作品をシェア

pagetop