下村係長と同期の榎本くんの、シェア彼女…!?
「先方に電話?」


「あ…。うん…」


またまたまたまたの失態、榎本くんにも聞かれちゃった…。


「相手、相当怒ってるらしいよ?」


「だよ、ね…」


「こーゆーのってさ、当事者、しかも女の子相手だとかなりナメられるんだよね。事態が悪化しかねないし、ボク、電話しようか?」


「でも…。わたしのミスだし…!」


断ろうとするわたしの左手から発注書の電話番号を読み取った榎本くんはすぐに電話機をプッシュ、スムーズにミスの原因や謝罪を丁寧に言ってくれて、
「明日、直接お詫びに伺わせていただきます」
と告げると、受話器を置いた。


「ね?こーゆーの、男の方が有利だから」


と、甘いマスクを温かな笑顔で満たし、わたしの背中をポンッと叩いた。


その手の熱に体の全神経が集中する。
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