下村係長と同期の榎本くんの、シェア彼女…!?
「かかり、ちょぉ…」


わたしは係長の背中にすがりつく。


みっともないってわかってる。


バカだってこともわかってる。


それでも。


榎本くんじゃなくても。


覚悟の上で係長のお腹に手を回した。


「“全部、教えてください”」


「オレは榎本じゃない、わかってるな?」


「…はい」


「全部って、わかってるな?」


「はい…」


「ならシャワー浴びてこい。他の男の匂いのするカナなんて、抱けねぇよ」


「わかりました…」


手をほどき、服を脱いでお風呂場へこもる。


この匂いを、榎本くんを洗い流せば、わたしは係長のモノになる。


複雑な思いは拭えないけど、係長を繋ぎ止められるなら、今なら。


“初めて”が怖くない気がした。


“好き”や“愛してる”の行為じゃない。


ただ繋ぎ止めたい、離れて行かないでほしいって、そんなセックスだけど、だからこそわたしは捧げたいし、係長にはわたしの気持ち、わたしは係長を感じたい。
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