下村係長と同期の榎本くんの、シェア彼女…!?
「ごめんなさい…榎本くんにこんなこと…」


「いいよ。それより明日の菓子折り、買いに行こ?」


「ううんっ!わたし1人で…!」


「加奈ちゃんの場合、菓子折りが何かに化けかねないし。会社正面で待ってるから、着替えておいでよ。じゃ、10分後」


そう言ってさっさとわたしを離れた榎本くんの背中にしばし見とれる…場合じゃなくてっ。


こんなボケボケだからミスが日常茶飯事なんだよッ。


わたしは自分のデスクを早く早くって気ばかり焦らせて片付ける。


ロッカールームでもまごつく手をなんとか操作して着替え完了、榎本くんを待たせること、18分。


「ごめんなさいっ。わたし、トロさも人一倍で…っ」


「いや、それはいいんだけどさ…。ブラウスのボタン、掛け違えてるせいで、中、ブラが見えてるんだけど?」


「ひゃぁ!」


自分の胸元を見るとチグハグに留まったボタン、胸が大きく開き、ピンクのブラが丸見えっ!


榎本くんはクスッて笑うけど…こんなトコでもミス!


スーツの上着を脱いで前を見えないように隠してくれて、


「直しなよ?」


榎本くんは優しくわたしを見下ろす。


「ご、ごめんなさいっ」


わたしは隠してくれた上着の中でブラウスのボタンを1つはずしては留め直す。


もう…どうしてわたしってこうドジなんだろ…つくづく自分が嫌になる。
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