下村係長と同期の榎本くんの、シェア彼女…!?
「カナは?シャワー使わねぇの?」


「ひぃぃぃッ!!」


か、係長ッ、裸にバスタオル1枚!!


「可愛げのない悲鳴をあげるな、近所迷惑だろ。さっさと浴びてこい」


「あのっ、でも…!」


「何?隅々まで洗ってほしい?」


「いえっ、自分でッ」


「あ、そ。オレ、ビール飲んでるからな」


「は、はい…」


下着とパジャマの忘れ物なし、バスルームの中。


わたしばっかりドキドキしちゃって、それが恥ずかしかったり歯痒かったりする。


係長は一回りも上の男の人、あの余裕とセクハラ言動に振り回されっぱなしが悔しいけど、惹かれてしまう一因なのか、な…。


体を洗っても髪を乾かしても、リビングにいる係長にばかりに気をとられてしまう。


「カナも飲むか?」


「まだバスタオルですかっ!?」


「だって、着るモンねぇだろ。男モンのパジャマなんて持ってんの?」


「あるわけないぢゃないですかっ」


「じゃ、仕方ねぇだろ。飲むのか、飲まねぇのか」


「わたしも飲みますっ」


飲まずにはいられませんっ。


ビールは苦くて得意じゃないけど、次々流し込んで頭がぼぅっとなる。


かなり麻痺させなきゃ、この状況には耐えられなくて、


「仕事に差し支えない程度にしとけ」


って止める係長に背中を向けて飲み続ける。


日付が変わる頃には、ペロンペロン。
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