下村係長と同期の榎本くんの、シェア彼女…!?
「新屋の水ようかんでいい?」
「あ…。うん…」
こんな風に肩を並べて歩けるなら少しハネた髪、直しておけば良かった…。
それもわたしのミス。
トロトロ歩いてるせいで青点滅の信号に間に合わないのも、わたしのミス。
それでも榎本くんは、わたしを責めたりせずに、
「加奈ちゃんのペースで歩けなくて、ゴメンネ?」
って、そっと腰に手を回して行き交う人とぶつからないようにかばってくれる。
着いた和菓子屋さんでは、ちゃんと
「コレ」
って決めてくれる水ようかんの箱。
それを持って出て、
「無事買えて良かった。ホント、加奈ちゃんてちょっとうっかりさんだから。ま、そんなトコが可愛かったりするんだケド」
なんて、王子さまは笑う。
その笑顔を閉じ込めたくて、わたしは目をつぶる。
だけど閉じ込められない気持ち。
わたしは榎本くんの背中を追って、俯いたまま彼の手を握る。
少し躊躇した掌はそれでも握り返してくれて。
だからわたしはダメだ、って。
叶いっこないってわかってるのに、溢れる気持ちをとうとう口にする。
「あ…。うん…」
こんな風に肩を並べて歩けるなら少しハネた髪、直しておけば良かった…。
それもわたしのミス。
トロトロ歩いてるせいで青点滅の信号に間に合わないのも、わたしのミス。
それでも榎本くんは、わたしを責めたりせずに、
「加奈ちゃんのペースで歩けなくて、ゴメンネ?」
って、そっと腰に手を回して行き交う人とぶつからないようにかばってくれる。
着いた和菓子屋さんでは、ちゃんと
「コレ」
って決めてくれる水ようかんの箱。
それを持って出て、
「無事買えて良かった。ホント、加奈ちゃんてちょっとうっかりさんだから。ま、そんなトコが可愛かったりするんだケド」
なんて、王子さまは笑う。
その笑顔を閉じ込めたくて、わたしは目をつぶる。
だけど閉じ込められない気持ち。
わたしは榎本くんの背中を追って、俯いたまま彼の手を握る。
少し躊躇した掌はそれでも握り返してくれて。
だからわたしはダメだ、って。
叶いっこないってわかってるのに、溢れる気持ちをとうとう口にする。