素敵な夜はあなたと・・・~君に恋していたい~【番外編完】
新入社員
季節は早くも春を迎えた。
会社の駐車場に植えられた桜の木は満開で、心地よい風が吹くとその風になびいて桜吹雪となり、見事な光景を見ることが出来る。
いよいよ今日から新入社員のお出ましだ。今年はどんな新人の社員が入社するのか多少は興味ある。ここ商品開発課では新藤の後に狩野が配属され、それ以来は新入社員が配属されることはなかった。
今年は数年ぶりに我が商品開発課にも新しい顔がやって来る。それも女性社員と言う話しだった。使い物になるのかならないのか、例え新人とは言えども徹底的に確認して判断したいと思っている。
それにしても定時を15分過ぎているのにまだ新人はやって来ない。女だから身支度に手間取ったのか?
通常は時間前には職場に来ているものではないのか? そして「おはようございます」と笑顔を振りまいて仕事内容を先輩社員から聞くものだろう。
「おい、狩野、新人はどうした?まだ来ないのか?」
「はい、でも人事部からの連絡が無いので休みとは思えないです。」
「ここはイケメン多いから、ここへ来るまでにどこかで男をナンパしてるかもよ♪」
「新藤、お前じゃないんだ。そろそろやって来るだろう。」
それにしても新人の癖に対した度胸のヤツだ。
勤務初日にこんなあり様じゃ示しがつかない。ここはデンと課長らしく叱って社会人としての心構えを教えてやろう。
すると、
廊下をバタバタ走ってこっちへ向かってやって来る足音が聞こえて来た。その足音に佐伯も新藤も狩野もみんな廊下へと意識が集中していた。
「すいません、遅くなりました!」
走り込んで商品開発課へやって来たのは俺が4年も前に離婚した舞阪茜だった。