素敵な夜はあなたと・・・~君に恋していたい~【番外編完】
「茜・・・もう少し寝かせろよ・・・・」
「ダメ! もう何時だと思っているの? さあ、早く起きて。遅れちゃうわよ。」
「あと5分・・・・だけ・・な」
さっきもそう言って「あと5分」が10分になり20分になっている。もう、これ以上は延ばせないから早く起きて!
「ダメよ、さっきもそう言ったでしょ?」
「煩いな」
煩い呼ばわりされて流石に頭に血が上った私は優也の布団を引っ剥がした。
季節は既に初夏。だから、5月になるとかなり気温は上がっているんだけど、直射日光が入らない家の中は思ったよりひんやりしている。
だから、そんなひんやりした部屋のベッドの中は気持ちよくてまだ眠っていたいのだと思う。
「何するんだよ!」
「今日は何の日か覚えている?」
まだ眠たそうにしている優也のベッドへと膝を乗せると優也の寝ぼけ顔を覗きこんでは鼻をつまんでみた。
中々起きようとしない優也は嫌そうな顔をしながらも私の手を引っ張っては布団へと引きずり込んだ。
「悪戯するんじゃない。それに、今日の試着は午後からだろ?」
「ダメよ。その前にお祖父ちゃんの所へ寄るんでしょ?」
お祖父ちゃんの名前が出ると流石に優也は目を覚ましたようで、私の顔を見ては少し眉間にしわを寄せて「う~ん」と唸っていた。