死神さん
「ありがとう・・・面白かったよ
また本貸してくれよな」
家の玄関先にてナナに借りてた本を返す

「うんだんだんユキくんの好みがわかってきたから最近考えるのたのしいんだ」

「でも本とってくるまでずいぶん時間かかったね・・・何してたの?」

「あははーやぁー部屋に死神がいてさ、俺の魂とろうとしやがんの」
・・・きょとんとするナナ

「あはははは・・なにそれジョーク?ちょっとよくわかんない。でも面白いかも」
・・・わらってくれるナナ、、なんていいやつなんだ


「じゃあまた明日」
・・・ナナがそういって手を振った

「あぁ、、また明日」
・・・俺も手を振った


さてっ
家に入り今度は靴をちゃんと揃えて脱ぐ
部屋の前につき、立ち止まる

「ふーー」
また一呼吸

「よしっ」
ドアを開ける

そこには閉じられたカーテン
床はフローリングで穴一つなく、
本棚は順番通り綺麗に並べられ、
そして、椅子には誰も座ってなかった・・・

俺は椅子に座り、部屋全体を見渡す、
今度はベッドに布団の山ができていた・・・

「よいしょ」
その布団の山をあけると、ひどく不機嫌な声が返ってきた・・・

「なによ・・・部屋はもとに戻したでしょ」
・・・睨み付けられた、さっきまで泣いていたのだろうか目元が赤い

「うん・・・でもそこにいられると困るんだ、、、」
・・・キッっとまた睨みつけられた

「なぁ・・・帰らないの」

「無理」

「・・・・・・・・・」

「その鎌さ・・・あんだけやっても切れないってことは不良品なんじゃないの??」

・・・彼女はじっとこちらをみて、しばらく黙り、しゃべり始めた

「だいたい生きてる人間の魂は、鎌じゃ切れないの」
・・・えっ?そうなの??

「でも・・・例外があって死を望んでる人間や生きてることに絶望してる人間は、魂と肉体の結束がゆるくて、だいたいは鎌でも難なく切れるの」

「・・・・・・・・・」

「今朝、家から出たあなたは魂と肉体はぬるゆるでぎりぎりつながってた・・・
今朝から家で私に会うまでになにか人生に希望が持てるようなことでもおきた?」


「・・・・・・ふーん、、、ごめんよくわかんねぇや」

「そう」
とても力のない声で返事をする、さっきまでの形相が嘘のようだ

「でもさ切れないんならもうここにいる意味無いよね」

「そうね・・・あたしも終わりだわ」
悟ったような目で答える死神
今にも死にそうである

こういう時は・・・なんだろう・・・そうだ励まさなきゃ!!
昨日の敵は今日の味方っていうし!!
まあ昨日も今日もまだであってから半日もたってないけど・・・

「まだあきらめんなってほかにも死にそうなやつとかいっぱいいるだろ・・・べつにオレにだけこだわらなくたって・・・」

「ふっ」
鼻で笑われた・・・

「ごめんなさいね私のせいで」
・・・謝られた!!えっさっきまで魂とろうとしてたよね、どうしちゃったの

「べっべつに大丈夫・・・よくわかんねぇけど、耳寄りの情報とかあったら俺協力するよ、」

「そういう意味じゃないわ」・・・
間を開けて彼女は喋り出した


「今日の12時をもって異端審問会の連中が来る、秩序を破ったものと禁忌をしってしまったものを処分しにね」

「あなたと私の命はきょうを持って終わるのよ」


・・・・・・・・・・・・は??








< 10 / 14 >

この作品をシェア

pagetop