死神さん
「これ貸してあげるわよ」
彼女はそう言っておもむろにかばん鞄から取り出し、投げ渡した

「ん・・・なんだこれ」
受け取るとそれは鎌だった

「あーそういや二つ持ってたな」

「それが私のもってる中で最高のもの」
・・・えっ?ほんと??良く見たら彼女の使っている鎌とは少しちがっていた

「え・・・いいの?」

「うん・・・わたしじゃ重過ぎてつかえないから」
・・・あーたしかにずっしりくる
これじゃ女の子じゃ使えないかな


「よしじゃあつかわせてもらうぜ」
・・・重い、だが振り回せないことは無い

「それならもしかしたら何かしらの効果があるかもしれないわ」

「とりあえず簡単に振り方を教えるわよ」

「え?あっ・・・ありがとう」
・・・急に振り切ったように彼女は積極的になった。
まあ彼女もやる気になってくれたのだろう。
そりゃそうだぜ、あんたもその気になってくれなきゃよ

その後、小1時間ほど彼女に手ほどきを受けた
・・・結構鎌は重く、扱いづらくなかなか上手くいかなかった
けれど彼女は辛抱強く教えてくれた




「よしっこれならいけるかも」

気付いたら時計の針は11時を超えていた

もうこんな時間か

決戦の場はリビングを選んだ

場所が広くて動きやすくそしてまあ俺の独擅場だからだ
ここなら誰よりも詳しい自信がある
生まれて17年こんな時が来るとは・・・
俺の晴れ舞台だ、まあ多少散らかったって家族も許してくれるだろう

部屋からでて階段を降りる
するとなにかにつまづいた

「いって」
・・・足で何かを踏んだようだ形的には円状かな、滑ったから
しかし・・・
小指が!!小指をうった!!いてぇ!!
なんだなんだ ??

「あっクレストヘルムじゃん」
・・・ったくちゃんと片付けとけよな
まあだしたのおれか

そうだ・・・折角だから被っちゃおう
おそらく速攻戦になる
だから鎧は無くなく部屋に置いてきたのだが・・・
ヘルムだけならさして関係ないだろう
もし頭を打った時だいぶ衝撃を軽減してくれるはずだ

「あら似合ってるじゃない」
彼女が珍しく僕を褒めてくれた
なんだかちょっと照れちゃったじゃないか
出会ってまだすこし・・・
だが彼女がさっきまでとは違いとても頼もしくみえた、






11時50分を超えた
俺はリビングの中央にたちその時を待った
彼女も同じように立ちそこに立った

落ち着く為にゆっくりと目を瞑る

「・・・・・・」

「・・・ねぇ」
・・・彼女が話し掛けてきた

「・・・あなたかなり変わってるわね」

「いやいやきみも大概だろう」

「そんなことないわ・・・だって、普通戦おうなんていわないわよ」

「ん?そうか??」

「私も前例を見たことあるけどみんな逃げ出すか、気が狂って自害してしまったのが大半だったわ」
・・・前例があるのか一応、恐ろしいな死神界

「べつに普通だろ」
・・・実のところ相手もよく分かってないからな
でもさ多分みんなそう思うぜ
そうだ、誰だって一緒さ
大事だろ?魂ってのはさ・・・多分
今日は特に思うんだ。そんな感じなんだ
実のところ俺は彼女の言っていたことが分かっていた
俺の魂がどこに向かっているのか
あの時、彼女と出逢えてわかったことがある
この事が終ったらちゃんと伝えよう
まぁ文句も沢山あるが、それとおなじくらい感謝したいんだ
こうみえて彼女は責任を感じやすいらしい
だからこれだけはしっかり伝えとかにきゃいけないな




さてそろそろか
ゆっくり目を開ける
針は11時59分を刺していた

くる・・・何者かはよく分かってないが、とにかくやばい奴らが

普通に壁とか突き破ってくるな多分
もしかたら天井からくるかも
あの彼女でさえあの破壊力だ、きっととんでもない
だが恐れることはない
不思議とおれはおちついていた
時間がゆったりと流れている
リラックスMAX状態だ
そうだ全神経を集中させろ

チッチッチッチッチッ
50・51・52・53・54・55・56・57・58
・・・・59

「くるぞ!!」
・・・俺は大声で叫んだ

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

沈黙
この瞬間ほど一秒を長く感じたのは初めてかも知れない




チッチッチッチッチッ
おっと遅刻かな・・・
さすがにエリートといえど秒単位でこないか
ふん、所詮その程度か
まぁ今しばし待とう

チッチッチッチッチッ
しかし興醒めだな、気合い入れて叫んじゃったじゃないか
できれば早く、早く来て・・・ちょっと恥しい


計2分ほど経過した時である



「ピンポーーーーーーーン」

家の呼び出しベルが鳴った
それはもうよく響いた
家の隅から隅までどこまでも響いた
うちのベルこんなに音量大きかったけ??

でてきたのはにガタイの良い二人の男と真ん中に物腰の低そうなだが品のいい、笑顔の消して崩れない紳士が一人・・・

「すいません夜分遅くに
私、異端審問会會長ルワルド・マーフェスと申します
うちの部下が迷惑をかけて申し訳ありません
今後のお話と対策をしたいので家に少しの間だけお上がりしても宜しいですか?」


・・・えっ??ああそうかそうですよね他人様の家に上がるんですからそれが普通ですよね
なんでしょう気合いいれちゃった・・・・
えっいやいや盛り下がったりなんかしてませんよ。ただちょっとまぁなんかね・・・









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