白衣とメガネと懐中時計
「ほんとはずっと、ヤキモチ焼いてもらいたくて、他の女の子と付き合ってた」
手のひらを添えられている、頬が熱い。
「翔平……」
気づいていた、自分でも。
彼が女の子と付き合うたびに、面白くなかった自分のこと。
彼に振り向いてもらいたくて、彼氏ができれば、いつも彼に報告したこと。
でも、実際、付き合っては、翔平と比較して、別れてしまうこと。
貰った懐中時計を10年経っても使い続けているのは、彼が初めてくれたプレゼントだから。
彼へ向ける想いが恋だということ。
俺様で、自分勝手で、強引で。
でも、ほんとは甘くて優しい。
そんなところがずっと好きだったということ。
知ってるよ。ずっと知ってた。
けど、友達以上の関係には踏み込めなかった。