白衣とメガネと懐中時計


「ほんとはずっと、ヤキモチ焼いてもらいたくて、他の女の子と付き合ってた」

手のひらを添えられている、頬が熱い。

「翔平……」

気づいていた、自分でも。

彼が女の子と付き合うたびに、面白くなかった自分のこと。

彼に振り向いてもらいたくて、彼氏ができれば、いつも彼に報告したこと。

でも、実際、付き合っては、翔平と比較して、別れてしまうこと。

貰った懐中時計を10年経っても使い続けているのは、彼が初めてくれたプレゼントだから。

彼へ向ける想いが恋だということ。

俺様で、自分勝手で、強引で。
でも、ほんとは甘くて優しい。

そんなところがずっと好きだったということ。

知ってるよ。ずっと知ってた。
けど、友達以上の関係には踏み込めなかった。

< 11 / 12 >

この作品をシェア

pagetop