白衣とメガネと懐中時計
「……っ……しょ……瀬戸さん!?」
「いいよ、翔平で。二人のときは友達だろ?」
私のすぐ背後に立っていたのは、瀬戸翔平(せとしょうへい)。
うちの開発部ナイロンチームのリーダーだ。
実は高校も大学も就職先も同じという腐れ縁。
翔平は大学院まで進んでから就職したから、こっちのほうが後輩なんだけど。
こいつが開発した布がえらいヒットしたらしく、あたしをあっさり抜かし、リーダーに抜擢された。
以降は一応、彼を敬い、"瀬戸さん"と呼んでいる。