~ただ前へ~
出会い
季節は初夏を迎えるころ。
アイリス女学院二年A組
私、大倉 カノン(おおくら かのん)は小高い丘の上にある学校へ向かっていた。
私の通う学校は、いわゆるお嬢様校。
アイリスは県外でも有名で、『あー、アイリスね知ってるわ』
誰もがそう言う。
女子中学生憧れの高校。
わざわざ県外から通学する子も多い。
だからこの制服を着て街を歩くと、
「見て、アイリスの生徒」
「いいなぁ、私も入りたい」
とか
「制服可愛いー」
なんて、ささやかれたりする。
だからアイリスの制服を着ることは一種のステータスでもあった。