~ただ前へ~

「じゃ、居残りな」

へっ?!

そんな。


「あの、今日は部活が」

「部活がなんだって?」

「いえ、なんでもありません」


声を荒らげるでもなく、静かに怒るところが逆に怖い。


「終わったら見せに来い」

「はい」



「案外厳しいね、涼介先生」

隣の席の子が話しかけてきた。

「前の先生は見逃してくれたのにね」

「だよね」

私は小さくため息をつく。

今日は夏の県大会の選手決めがあったから。




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