真実の花(仮)~花と光と奏でmelody2
【 KOH様 】と書かれたドアの向こう側から聞こえてきたその声に、

それが、開ける前のドアのこちら側に立つ私に向けられたものじゃないことだけはわかる。


私はノックしようとしていた手を咄嗟に引っ込めて、その手を胸の前で握り締めた。



ドクドクと鼓動が早まり、押し寄せた不安。



"このまま聞いてちゃいけない"



と警告音のように響いた声に、私はその場から身を翻した。


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