幼なじみなんていらない
凌輝の顔が少し歪んだのに気づく。
こんな顔、初めて見た。
わたしに気づかれたことに気づいたのか。
凌輝はすぐ無表情に戻し、
「そ、じゃあ何でそんな顔赤くしてんの」
ゴツゴツとした大きな手がわたしの頬を包み込んだ。
手大きいなあ。
もう男の子じゃないのか、そう意識した瞬間、また胸が苦しくなった。
「熱いから!わたし、もう熱いし教室戻る!アイスなんていらないから」
わたしはそう言って、熱い熱い廊下から逃げ出した。
凌輝がどんな顔してるかだなんて、見なくても分かった。
長い付き合いだから。幼なじみだから。