ラブレッスン ー女教師と恋の駆け引きー 【完】
ところで、一番の問題は真弓さんのほうだ。刃物をもって家に来たということは聞き捨てならない。
もしも拓也とかいう男に事実を盛って話をされては、確かに真緒ちゃんを恨むことになる。
ここは先手を打つべきだ。その男の人からばらされてしまう前に、こっちは謝罪と供に我田引水の姿勢でいこう。
「そこで、真緒ちゃんに確認したいことが2つあるんだけど。まず一つどうして真弓さんは旬に真緒ちゃんがこの件に関わっていることを話さなかったの?」
「真緒がお兄ちゃんと真弓さんの既成事実を工作させたりして二人が付き合う手助けをしてくれたと、真弓さんは真緒に感謝してるから。結局、真緒の筋書き通りなんだけど・・・・真弓さんはお兄ちゃんを振って、長年片想いした人を選んだと思っているの」
「あともう1つ、その男の人と真弓さんを近づけるために真緒ちゃんはなにかした?」
「真緒は『お兄ちゃんと真弓さんを別れさせるきっかけになってほしい』ってあいつに言っただけ。そしたらあいつはその意味を察して真弓さんに近づいた」
となると、
「こういうことにするなら、筋は通る。
真緒ちゃんはその男の人は真弓さんのことを一度は振ったけど、本当は好きだったのではないかと思った。
だから、真弓さんが旬を騙した罪悪感を持ちながら二人が付き合うよりは、実は両思いだったその男の人と上手くいったほうが真弓さんは幸せだと思って、真緒ちゃんはその男の人を応援するつもりで『お兄ちゃんと真弓さんを別れさせるきっかけになってほしい(真弓さんをあなたが幸せにしてという含み)』と言った。
真緒ちゃんはただ真弓さんに幸せになってほしかった。それだけ」
「でも・・・・あいつが真弓さんを好きだったと疑う根拠がない」
「最初はなんとなく勘だった。でもその男の人は真弓さんのことを好きだから付き合った。根拠ならこれで十分。結果的に付き合うことを選んだのはその男の人でしょ?」