ラブレッスン ー女教師と恋の駆け引きー 【完】
「礼は?」
「ちょっと、今から言おうと思ってたのに」
「言葉はいらない。なにか一つ言うこと聞けよ」
「・・・偉そうに。私ができる範囲よ。そういえば、何で学校にいるの?」
俺はその疑問には無視して、あの女子高生に電話をかけた。呼び出し音が一回も鳴らないうちに、その女は電話に出た。
俺は、「学校にいた。今から帰る」それだけ言って、一方的に電話を切った。詳しいことは、直接女教師に聞けばいい。
「あんたって・・・実は優しいんだね」
「優しくなんかねーよ」
ひなが言っていたことを思い出した。
こいつのタイプな男はーー『優しくて、大人の男』。
俺はホストをバカみたいに好きなこの女に優しくなんか出来ないし、高校生のただのガキ。
早く、こいつが惚れるだけの大人になりたい。
だから、本当に一つ言うことを聞いてもらえるなら、俺が大人になるまで待ってほしい。
もちろん、そんなことは頼めない。
この女の婚約指輪が、そう語っていた。