こんな私が、恋したみたいです。

部活が終わる時間は、まだもう少し先だ。


結構、部活って長くやってるもんだと思う。



この時間中ずっと、無視され続けてるなんて。



私、結構耐えてる。結構、頑張ってるつもりだよ。



『は、じゃあ私のせい？』
『まじで意味わかんな』
『本当りっちゃんうざいよね』
『渕月いた時は渕月のがうざかったからハブってたけど』
『いなくなったからいま1番うざいのりっちゃん』
『そーいえばね、部活のみんなりっちゃんのかと嫌いとかありえないとか言ってるんだよ！』
『知ってたー？私はだいちゃんによく聞くけど、りっちゃんはそんなこと聞かないよね』
『そーゆーこと教えてくれる人いないし』
『りっくんも教えてくれないでしょ？』
『りっくんも言ってるしねー』
『てかりっくんが1番言ってるかも笑』
『まあ、表面りっちゃんの味方のりっくんと仲良ししてな』
『粗探ししてるだけかもだから気をつけなよー』




「トイレ混んでたー」



あやのからの、本当か嘘かわからない大量のライン。



「そっか」



信じちゃうなんて、私もバカ。



だけど、どうしても、そうなのかと思っちゃう。




「りっちゃん？粟原さんになんか言われた？」




「いや、別に」



こんなことで、冷たい態度取るなんて、小さな人間だ。



「りっちゃん！」



明るい声。元気が出る声。



「ぎゅーってしよ！」



私の大好きな顔で、私の大好きな声で。



首かしげちゃって、かわいい。



「…帰る」



我がままな私は、耐えられなかったんだ。



りっくんが、私の粗探ししてるって、少しでも思っちゃったんだ。



「え！？りっちゃん！」



りっくんとお揃いのアメフトバックを持って、りっくんの声を背中で聞きながら、走った。