こんな私が、恋したみたいです。
こんなに彼女がいないのは、久しぶりだ。



こんなに暇な夜は、久しぶりだ。




暇だなーって、りっちゃんから返信こなくてもどかしくて、携帯を握りしめていた。




「あ、雨」



いつの間に。すごい土砂降りだ。



今日は親も姉貴も帰ってこないから、俺1人。



暑くて開けていた窓を閉めようと、窓のそばに行く。





…え?




りっちゃん?




知ってる。あのアメフトバック。あの、何のキャラクターかさっぱりわからない小さなストラップ。




傘、さしてないじゃん!




さっき閉めた窓を慌てて開けた。



「りっちゃん!!!!」



力の限り叫ぶ。



走ってるりっちゃんには、雨の音もあって、聞こえないかもしれない。



だけど、りっちゃんは立ち止まって、こちらを見た。





…なんだよ、それ。




びしょびしょに濡れてて、綺麗に巻かれていたはずの前髪はすっかりまっすぐで目の下までかかっていて。



「そこで待ってて!!」



叫んで、部屋を飛び出して、タオル持って、傘持って。



家も飛び出す。



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