こんな私が、恋したみたいです。
なにしたらいい?


りっちゃんが風邪引かないようにしないと。



無意識のうちにポケットに入れておいたらしい携帯が、震える。



りっくんからだ。しかも電話。



「もしもし」



だけど、りっちゃんをこんなんにさせたりっくんに、俺は今キレてるからな。



《なあ!りっちゃんいなくなっちゃってほんとどこにもいないんだけど、一緒に探してくんね?》



どこ探してたら、見つかんねぇんだよ。



「ちょっと今取り込んでて」



《なんでだよ!ほんとにいねぇんだよ!》



「なんでりっちゃんいなくなったんだよ」



こんなにキレてるりっくん、初めてだ。



こんなにキレたの、俺も初めて。



《知らねぇよ!トイレから帰ってきたら帰るって言い出していなくなったんだよ!》



「は?それその場で引きとめれば良かったじゃん」



てっきり、りっくんがいない隙にりっちゃんが逃げ出したんだと思ってたけど。



正面切っていなくなったんだったら、いくらでも引き止められただろうに。



《そんなこと今どーでもいいだろ!とにかくほんとに!》



「電車で帰ったんじゃねぇの?」



今は、俺のりっちゃんだ。



りっくんが引き止めなくて、俺が見つけたんだ。



《でもラインとか全然既読もつかねぇし電話も出ねぇし!》



「死にやしないからいけるっしょ。じゃ」




ムカつく。だから、電話を切った。



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