こんな私が、恋したみたいです。
言われたわけではないけど、見てれば分かる。



絶対、言葉が詰まる。ありがとうの回数も、少ない。



理由は、わからないけれど。



「りっちゃん、好きな飲み物なに?」



リビングの片隅で俺に背を向けてドライヤーをかけている。



そのまま、抱きしめたい。後ろから不意打ちで、拒否られないように。



「んー、あったかいの」



「うん」



この暑い日に、お湯を沸かすことになるとは思わなかったけど。



りっちゃんのためだ。一向に構わない。



確かりっちゃんが好きだと言っていた、抹茶ラテにしよう。



「はい」




机の上に置いて、りっちゃんと面と向かう。


< 385 / 549 >

この作品をシェア

pagetop