こんな私が、恋したみたいです。
「それで、逃げてきちゃったのね」



「…うん」



目を泳がせている。



俺から言われることが、怖いんだ。



りっちゃんが悪いって、言われると思ってるんだ。



「…りっくんに」



だけど、先に口を開いたのはりっちゃんで。



「ん?」



「ごめんなさい、しないと」



「…しようか」



りっちゃんがやりたいことは、やらせないと。



「え?」




顔を上げたりっちゃん。



「さっきりっくんから電話きたんだ。りっちゃんいなくなっちゃったって」



また、目を伏せる。



「だから、今言うわ。家にいるよって」



ちょっと迷ってから、確かに、頷いた。



「もしもし」



《何?》



りっくんも、さっきので怒り気味だ。



「りっちゃん、見つけたよ」



《まじで!?》



「たまたまな。びしょびしょで俺の家の前歩いてたから、避難させた」



《今、もっちんちいるの?》



「おう」



《行く!》



ほら、簡単。



なんも考えないで、すぐに行動しちゃうんだから。



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