こんな私が、恋したみたいです。
「後もう1個!」



言った。言ってしまった。



もう、後には引けないんだ。


しまった。俺が守ればよかった。いくら嫌われ者でも、俺が好きなんだから、ずっと横にいればいいんじゃん。



「もっちって人!その人も、りっちゃんと関わんないで!」



「…は?もっちは関係なくね?」



「えー?押していいのー?」



押される。こうなった以上、俺が守ってやれないのに。



だめだ。そんなのだめだ。



「わかった。うまく言っとく」



「うん!じゃーねー!」



目的を果たした渕月さんは、満足したように帰っていく。



やってしまった。とんでもないことをしたかもしれない。



だけど、いくら自責の念に駆られても、もうどうしようもなかった。



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