こんな私が、恋したみたいです。
だけど、次の日も、その次の日も、りっちゃんは学校に来なかった。




だから、決めた。会えなくて寂しいから、会いたくて仕方ないから、次りっちゃんが学校に来たら、おはようって、言おうと思う。それから、いっぱい、くっつきに行きたい。




Iの人曰く、具合が悪いらしい。風変わりなりっちゃんの担任がそう言っていたらしい。




だから、大丈夫。1週間もすれば来てくれるよな。



もしかしたら、今日かもしれない。





またいつも通りの時間に、トイレに行った。



Iを覗くのも慣れたよ。




ちらっと見たりっちゃんの席には、カバンがあった。





見つけた。何のキャラクターか全然わからないストラップがついてるカバン。





来てるんだ!



りっちゃんはこの場にはいないけど、すぐに戻ってくるはずだ。



何も考えずに、扉を開けた。




教室は、ざわざわとしていた。




気のせいかな。みんなが、りっちゃんの席を見ているような気がする。




「おい!陸!」



「ん?」



Iの友達が、随分慌てた顔をして俺のところに駆け寄ってきた。




「神多!あいつやべえよ!」




「なにが?」



「さっき、ぶっ倒れた。血ドバーッて吐いて」



「…は?」



あたまが、追いつかない。



「多分もう救急車。さっきまで先生めっちゃきて大変そうだった」



「…いや、は?」



「だから吐血だって!は?じゃねぇよ!」



「…ちょ、俺帰るわ」




りっちゃん、ねぇ、なに?どうしたの?




何で教えてくれないの?なにがそんなにやばいの?何で血なんて吐いてるの?



「は?」



「りっちゃんとこ、行かないと」




Iを飛び出して、Eに入って、カバン背負う。



「りっくん〜はよ〜」




いつの間に学校に来ていたもっちが絡んできた。




「はよ、じゃね」



その手を振り払うのは多分初めて。だけど、そんなこと考えてられない。



「は?」



色々な言葉を掛けられたけど、全部背中で受けて、全部返せなくて、だけどそのまま走った。



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