こんな私が、恋したみたいです。
32.
《で?ノコノコ帰って来たわけ?》




「そうです…」



あの後、何をする間も無くすぐに看護師さんに出ていくように言われてしまった。




そして、頃合いを見計らったように、もっちから電話が来た。



《戻ればいいじゃん》




「もう無理、メンタルブレイク」



《はぁ?ふざけんなよお前》



もっちは怒っているけど、そんなのことも気にならないほど、落ち込んでいる。



「うるさいなぁ。もっちは何も言われてないんだからいいじゃん」




《りっちゃんはシカト1か月だぞ?それでもお前メンタルブレイクなんて言えんのかよ》




「それはそうだけど…」




《今日は遅いからあれだけど、明日も絶対行けよ?》



「けど、」



だけど、やっぱり、怖い。




《けどじゃねぇよ。行けったら行け》



「仲直りしたら、ラーメン奢ってくれる?」




《おー、わかった。しなかったらりっくんの奢りな》



「うん」



頷いたら、もっちは少し笑った。




《元気ねぇの。らしくねぇな》




「うん」



だって、楽しくない。元気じゃない。




《りっちゃんのことだからな。頑張れよ》





「頑張るよ」




今までして来たことの、報復だと思って。



《おう。応援してるぞ》




「ありがとう。ねぇさ、」




《ん?》




「りっちゃんに、ごめんねって一言だけでもラインしてもいいかな?」




《しな》




そう言われて、元気にお礼を言おうと思って、深呼吸した。



「ありがと!する!!」



《おう》




「じゃあ、家着くから」




《また明日な》




おやすみ、と言って、電話を切った。



< 449 / 549 >

この作品をシェア

pagetop