こんな私が、恋したみたいです。
「やった」




小さく言ってから、俺の背中に手を回してくれる。




「うん」




りっちゃんの頭をポンポンと撫でながら、俺もりっちゃんの肩に顔を乗せた。



何も言わないけれど、時々俺のワイシャツをつかみ直す手が、動く頭が、りっちゃんがここにいることを教えてくれる。




「ねぇ、橋森くん」




「うん?」




「お腹、空いたね」




「そうだな」




携帯を見たら、とうに昼を過ぎていた。




「りっちゃん、飯は?」




「多分、もう直ぐ来る」




手を離したから、俺も手を離す。




目が合うと、へへっと恥ずかしそうに笑った。




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