こんな私が、恋したみたいです。
だけどそれは五分も持たなくて、すぐにりっちゃんは伸びをする。



「あー、暇」



携帯すら飽きた、と言う。





「明日、漫画持ってこようか?」




「ほんとに?いいの?」




興味津々に、俺を見る。




「いいよ。って言っても、俺が読むようなものだけど」




「全然いい!」




また、パアッと笑顔になって喜ぶ。




「うん。わかった」





可愛い、瞬きすらしたくないぐらいに、りっちゃんをこの目に焼き付けたい。




俺が大好きになった、その満面の笑みを。






「やったぁ」




ニコニコと喜ぶりっちゃんが、この上なく可愛くて、手放したくないとさえ思ってしまう。




いっそのこと、一生ここにいればいいのに。そうしたら、毎日来て、お喋りできるのに。




すぐ近くにあるであろう別れを思うと、嫌で嫌で、狂いそうになる。





「…橋森くん?」





「…あっ、…ごめん」




気がついたら、りっちゃんを抱きしめていた。





「ううん」




気がついてすぐ離れようとしたのに、りっちゃんは、俺の背中に手を回す。






「私も、これがいい」



そう言われて、ほぼ無意識に、ぎゅーっときつく抱きしめていた。




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