こんな私が、恋したみたいです。
「おーいそこのバカップル〜!!」




早足で病室に戻ったら、扉の前に川田さんが仁王立ちしてた。




「1分!過ぎてるから!!」



急いだつもりだけど、面会時間が終わったらしい。




「誤差誤差」




橋森くんは、それらしくヘラヘラと笑いとばす。





「その誤差がね!どうなるかわかってんの!?」





「んー、どうなる?」





呑気すぎる橋森くんは、そっと私を後ろに隠した。





指先は、まだ繋がれたまま。




「はぁ…次からちゃんと時間通りに帰ってくるのよ」




諦めたらしい川田さんは、後ろにいる私を少し睨んだ。





「ひぇぇ〜〜おばちゃん怖いねぇ」



川田さんを茶化して、もっと怒らせてしまう。




それでも、ずっと繋がれたままの手が嬉しくて、全然怖くなかった。




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