こんな私が、恋したみたいです。
34.
あれから、橋森くんは毎日来てくれている。
テストあるなら来なくていいのにとっても聞かなくて、とにかく毎日、部活が遅くなってたったの10分でも来てくれた。
その度に、好きが募るの、分かってる?
「夏休み!!!」
夏休みに入って初めて、部活が休みらしい今日は、一段とテンション高め。
「やったね」
たくさん来てくれて嬉しいよ。
「とりあえず遊ばないとなー」
映画も見たし、ゲーセンも行きたい、テニスもしたい、とやりたいことをつらつらと語る。
「私もね、来週退院だって」
嬉しい。けど、
毎日当たり前に橋森くんに会えないと思うと、寂しいよ。
「ほんと!!?じゃあ遊ぶ日決めないと!!」
椅子から立ち上がって喜んでくれて、当たり前のように遊ぶと言い始める。
遊ぶなんて、恥ずかしくて、いられそうにないけど。
「いつにするー?次のオフはねー、」
1人で話を進めて、勝手に予定を組んで、お昼ご飯はラーメンとまで決められてしまった。
「いい?」
「うん。10日ね」
来月の10日、私も携帯のカレンダーに書き込んだ。
「あ、りっちゃん、だったら、合宿行くの?」
「…合宿?」
「うん、部活の8月頭から4泊で」
「…え、どうしよう」
もちろん、行きたい。だけど、不安しかない。
「行こーぜ!事情マネ軍には言っとくし、夏休み開ける前にちょっとでも友達作りたいでしょ!」
あまりに張り切っていて、確かにそうかも、と思って、頷いた。
ままと仲直りできたし、転校を諦めてくれたし、橋森くんともここで仲良くしている。
全部、橋森くんのおかげなんだけどね。
だから、きっと、許してくれる。
すぐさま、ラインをした。
「ねぇ、マネの子、どの子?」
ラインの友達の欄を橋森くんに見せると、スクロールして探してくれた。
「これこれ、粟原さん」
「あやのちゃん、か」
「そう。今年は、マネ募集しなかったから後輩はいないし、居やすいと思うよ」
「そっかぁ」
楽しみで、心を踊らせる。
「あやのちゃん、話ししてみたい」
辛いことがあったのは分かってるけど、もう、大丈夫だ。
「明日か明後日か、連れてくるよ」
「ほんと!?」
「うん」
私の勢いに笑った橋森くんは、約束、と小指を私に突き出した。