こんな私が、恋したみたいです。
「あ!ね!りっちゃん!!」




突然思い出したかのように、いきなり顔をガバッとあげて私をみた。



夏休みなのはわかるけど、部活してきてそんなに元気なのはほんと不思議。




どこから湧き上がってるの、その元気。




「なんでしょう」




私、一日中座ってるのに、窓から差す日差しでげんなりしてるんだけど。




「もっち!連れてきていい?」





「もっち?」





やたらめったら、友達を作らせたがるな。





「うん!りっちゃんの携帯の望月くん!!りっちゃんに会いたいって言ってる!」




「あー、」




名前は、知ってる。




仲良し、だったのも知ってる。






「いいよ」




別段断る理由がなくて、許可をした。




さっきもそうだけど、向こうは馴れ馴れしく話しかけてくれて、だけど誰だかわからなくて。




不思議な気分だけど、新しい友達ができたようで、何年も一緒にいるかのように話ができるから、嬉しい。




「やった!連れてくるね」




「え、今?」




明日か、明後日か。それくらい後の話だと思っていたのに。






「今会いたいって言うから!」




入り口にいるらしい望月くんを呼びに、橋森くんはいなくなってしまった。




「妬いても、知らないぞ」




とことん仲良くしてやるんだから。そのあと、橋森くんの赤くなった顔を見たい。




いや、怒っちゃうかな?




怒られない程度に、しておこう。




そう意気込んで、また、髪の毛を整えた。



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