こんな私が、恋したみたいです。
「退院、おめでとう!!!!!!」





ぽかんとする私を、大勢の人が見ている。





「…え、っと」





どういうことだ、これは。





あやのちゃんは端っこにいて、りっくんはほぼ真ん中にいる。




それ以外、誰だかすらわからない。





「……ありが、とう」




みんなが見ていて照れくさいし、もう何が何だかわからないけれど。






1つだけわかるのは嬉しいってこと。





私がボソッとお礼を言うと、いえーい!とみんなが謎に盛り上がった。




「みんなを紹介するね」




あやのちゃんが横に来て、端に立つ男の子を指さす。




「あの人が、ゴリラね」



「ゴリラ!?」



名前を言われるのかと思ったら、あだ名な上に随分ひどいあだ名をつけられていた。





「うん。似てない?」




「似てる…かな」



「で、次がブタね」





「ブタ…」





本当にそう言われているのだろうか。




「で、あれがおにぎり」




「それはわかる似てる」





そう言ったら、おにぎりがはぁ!?と怒り始めた。




「似てるよねー?」




「似てる似てる。スジコ入ってそう」



そう言うと、みんながどっと笑う。






楽しくて、面白くて、何だかわからないけど懐かしい気がして、




笑い声の中に、私のも混じっていた。




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