こんな私が、恋したみたいです。
フードコートの本当に端っこを陣取った私たちは、向かい合わせに座る。




「はい、退院祝い」




そんなことを言って、私に抹茶オレをくれた。





「退院、祝い…?」





「うん。だからその財布しまっていいよ」





ははっと笑って、自分の分にストローを刺した。





「ありが、とう」




ねぇ、こんなことでドキドキしてるの、知ってる?





いちいち、優しすぎるんだっての。





飲みたくたって、勿体無くて飲めないじゃんか。






「え?何だって?疲れすぎてストローが刺せない?仕方ないなぁ」




ボケーっと座っていた私に、いきなり有る事無い事言ってくる。




ブスッと、それにストローをさして、私に返してくれた。




「ふふっ」





1人で寸劇してるよ。






言うことが面白い。私まで笑って、刺されちゃったものは仕方がない、と口をつけた。





「…うっま」





久しぶりに飲むよ。





やっぱり、美味しいけど、りっくんが目の前にいるから、いつもよりもっと美味しい。




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