こんな私が、恋したみたいです。
37.
「んー、…」
鏡の前に立つのは、何回めだろうか。
ベッドの上には服が散乱している。
りっくんと遊びに行く服を、前日の夜からずっと悩み続けていた。
大して服を持っていないから、すぐ決まると思ったんだけど。
気がついた。持ってなさすぎる。
「…ま、いっか」
普段はTシャツに短パンで部活してるし、冬はだるだるのスウェットらしいし。
何なら、病院でお腹出して寝てるとこすら見られてる。
「恥ずかしいもんなかったや」
今更何を着て行こうが変わらないことに気がついた。
というより、可愛い服なんて恥ずかしくて着れたもんじゃない。
開き直ったと言うかなんというか。良いのかわかんないけど。
「寝よー」
朝9時、学校の最寄り。
行き慣れすぎてて迷うことは無いし、いつもより1時間も遅いんだから平気に決まっている。
合宿でさらに焼けた自分の顔を見てため息をついて、電気を消した。