こんな私が、恋したみたいです。
「おけーい!」
真っ白いTシャツにデニムのスカートを合わせた。
多分、なによりもたくさん着ている服。
いつもはボサボサの後ろ髪もちょっとだけ巻いて、ちょっとだけ化粧もした。
どこに行くの?と聞くままに、あやのちゃんと遊んでくる!と嘘をつく。
恥ずかしいもんね。言えないよ。
ゆらゆら電車に揺られながら、そういえば汗かいたらどうしようとか、いつもは思わないことを心配する。
「あ、りっちゃーん!!」
改札を出たら、大きく手を振るりっくんを見つけた。
その手を振り返して、ドキドキとなる胸に気づかないふりをしながら近づいた。
「今日も可愛いね!」
「…は?」
今日も、って。いつも言わないし思ってないくせに。
これ以上、ドキドキさせないでよ。
「今日も、りっくんはかっこいいね」
ほんとだよ。いつもは言わないけど。
りっくんだって、狼狽えればいいんだ。
「…え?」
「で、どこ行くの?」
想像通りの反応に面白がりながら、話をそらした。
「あ、こっちこっち」
いつも持っているチャリがないのを少し不思議に思いながら、後ろをついて行く。
「腹減ったなぁ」
「減らないね」
どうせ、朝ごはんもしこたま食べて来たんだろう。
消化能力が高いのか、代謝が悪すぎるのか。
「今こいつまたかーって思ったでしょ?」
「うん」
即答だよ、とケラケラ笑いながら、いつもは行かない駅の反対側に着いた。
「…なんか、見たことある」
「アイスとラーメンの夢の中だよ」
わかりきったかのように言って、その中に入った。
そういえばそうかも、と納得しながら、一緒にエスカレーターに乗った。