君は世界を旅してる
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結局、私と一条くんの推理はほとんど当たっていた。
楠木さんがすべて話してくれたのだ。
やっぱり私のお父さんは楠木さんで、お母さんの若い頃ににそっくりな私を見てすごく驚いたと言ってた。
そして、楠木さん……お父さんは、ドイツに留学していたらしい。
お母さんが私を妊娠したと知ったお父さんは、お母さんに指輪を渡してプロポーズをした。
だけどその時、既に留学することが決まっていたし、病気のこともあってお母さんはプロポーズを断ったのだそうだ。
ならばと、お父さんは留学先で、お母さんの病気が万が一再発してもいいようにと、治療法を学ぶことにした。
そして留学直前、ドイツからも見守ってるという意味を込めて、あのドイツ語の本を渡したのだという。
おばあちゃんの家で見つけた写真は、そのときに撮られたものだろう。
そして、お父さんがドイツから帰ってくると、お母さんはその本を返した。
いつか一緒に過ごせる日が来たら、またこれを渡してプロポーズしてくれと言うように、私の誕生日のページに指輪を挟んで。
結果として2人は、病室という空間でようやく一緒に過ごせるようになったのだ。