君は世界を旅してる

「広野のことが解決したとき、もう一緒にいる理由がなくなったんだと思った。今まで俺と一緒にいてくれたのは、俺と一緒にいたいからじゃなかったんだと思い知った」

私と、一緒だ。
一条くんも私と同じことを考えてたんだ。

こうして屋上に来る理由も呼び出す理由もなくなって、もう一条くんに出会う前のことなんか思い出せないくらい、自分の中で存在が大きくなってることに初めて気付いたんだ。

「でも広野が横にいないと、なんか……」

「な、なんか…?」

「なんて、いうか……ほら」

もしかしてこれ、一条くんも私と同じ気持ちなんだろうか。
1度期待してしまったら、それ以外だった場合にショック過ぎるんですけど。

「…あぁあーもう、面倒くさい……」

「えっ、えええ?うそ、頑張って!」

「は、はあ!?何を頑張るんだよこの馬鹿!」

「ば、ばか?酷い!ショック過ぎるパターンだよ!」

一条くんは酷い。

かなり落ち込みそうになったとき、握られてる手に一際強い力が加わった。
一条くんの手、熱い。

「だから!一緒に過去を見に行ったんだから、未来も2人で見たいっつーか、……」

「………」

「………」

「………」

それって、つまり。
これから先も一条くんと一緒にいられるってこと、だよね…?

わかりにくいよ、一条くん。

そう思った瞬間、なんだか可笑しくなってきて笑い出してしまった。

「…ふっ、ふふ、あはは!」

「…おいテメ、なに笑ってんだよ!」

真っ赤な顔した一条くんが、今度は怒り出した。
だけど全然怖くない。

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