君は世界を旅してる
epilogue.
「真子ちゃん!久しぶりに一緒にお昼食べない?」
「は、早川くん……」
平和だ。
騒がしい昼休み、1組に早川くんがやって来た。
「だーめ」
「青木さん」
千尋が、私と早川くんの間に割り込むようにして会話に入ってきた。
その顔は案の定、にやにやしてる。
「真子はこれから、彼氏とお昼だから。ねっ」
「ちょっと千尋…!」
「えぇええー!?ついにそうなっちゃったんだ!?」
目を丸くして大きな声を出す早川くんに慌ててしーっと合図をする。
まだ千尋しか知らないことだ。
「どうせみんな、やっぱりそうだったかって思うだけだって。でもそっかー、あの一条がついに」
「じれったかったよねえ」
千尋と早川くんが、うんうんと頷き合っている。
なんか恥ずかしいからやめてほしい。
「じゃあ私、行くからね……」
「はいはい、行ってらっしゃーい」
「お幸せにー」
「う、うるさいよ」
勝手なことを言う2人をキッと睨みつけてから、逃げるように教室を飛び出した。