君は世界を旅してる

その数字が何を意味してるのか。
意図的なのか偶然なのか。
これは、私に何を伝えようとしてるのか。

一条くんが帰っていった道を振り返る。

何が隠されてるんだろう。

置き去りにされて、何も出来ず、ただただ何故なのか、どこに行ったのか、疑問を浮かべるだけの日々が数ヶ月続いて。
一条くんがいなければ、私は今もずっとその疑問の中にしかいられなかっただろう。

一条くんの協力があって動き出した日々に、悲しくなったりわくわくしたり、確実に近付いてくる真実に一喜一憂して。

最初は不安のほうが大きかった。
知るはずのないことを知って、後悔するんじゃないかって思って、本当にこれでいいのか、自分は今間違ったことをしてるんじゃないかって考えた。

それでも、少しずつ明らかになっていく色んなことが、そんな考えをだんだんと振り払っていく。
今では自分の感情なんて関係なく、ただ本当のことを最後まで知りたい気持ちでいっぱいになった。

1人じゃ到底知ることの出来なかったこんな覚悟をくれたのは、私にとっては他ならない一条くんだ。
ぶっきらぼうだけど優しくて、弱ってるときにはすごく大きくて強い存在。
そんな彼に、私はだんだん惹かれていくのを感じている。

どうか、一条くんにとっての私が、仕方なく協力してるだけのただの重荷じゃなければいいと、強く思った。


< 57 / 151 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop