結婚の約束をしよう
「あははー。でも残念、今日はあたしも寝坊なんだ。」

「じゃぁ寝坊しないのはオレくらいか。」

「上手いこと言うね、笹野くん。」

陵は、もういつもの陵だった。

寒空の下、学校までの道を3人で急ぐ。

「ねぇ結愛、昨日この辺じゃなかった?」

「あ、うん。そうだね…。」

昨日この辺りで、石崎先輩とあいさつを交わした……思い出しただけでもドキドキが湧き上がる。

「この辺って何だよ⁈なんかあったのか⁈」

陵の表情が急に険しくなったのは、多分良くない想像をしているのだろう。

「陵、不審者とかそういう話じゃないからね。」

「…ならいいけど、焦るだろ。」

「ごめんね?結愛の好きな人と昨日この辺りで会って、その話。」

深月ちょっと待って…。

「ふーん、そっか。どんなヤツなんだ?」

「んー、超イケメンの先輩!かな。」

陵にはあまり知って欲しくなかった事を、深月はサラリと言ってしまった…。

「結愛…。」

「な、なに…?」

少々テンション低めの陵の呼びかけに、おそるおそる返事をする私。


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