結婚の約束をしよう
15歳を目前にして確実に変わった私は、全てと言っていいくらい陵のおかげだからだ。

1週間前と比べものにならないくらい、勉強が解る様になったし、クラスの子たちとの関わりも増えて、みんなの輪の中に入ることに対する抵抗も減ってきた。

特に給食の時間は私と陵が言い合うことが多く、そのやりとりを”夫婦漫才”とか言ってた男子もいたけど、嫌な気はしなかった。

目立つ事が嫌でおとなしくしてきた私ーーー元々の性格もおとなしいから、別にそれで良かった。

でも陵が戻ってきた事でクラスの子たちと関わることが増えて、最初はそれが嫌だったのに、今では私が勝手に壁を作っていただけなのかな、なんて思ったりもする。

一歩踏み出す勇気が、私にはなかったんだ。

そもそも、一歩踏み出そうなんて気もなかったけど…。


キーン…コーン……

「結愛、帰ろー?」

「うん…。」

「どうしたの?」

「何でもない、帰ろ?」

私は、陵を見ていた。



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