結婚の約束をしよう
「ごめんね、突然。」

「ううん。話って何?」

昨日私が呼び出されたみたいに、人気(ひとけ)がなくなったところで立ち止まり、会話が始まった。

私はそれを、何とか聞こえる位置で身を潜めた。

ドキドキが増し、圧迫されそうになる。

出来るだけ静かにするために、私はゆっくりと呼吸を整えた。

それでも収まらないドキドキは、私の身体の中から飛び出していきそうだった。

「笹野くん、あたしと付き合ってほしいの。」

うわ……。

そんな風に、単刀直入に言ってしまえるなんて…すごいな。

「…。」

陵は……陵は、何て答えるの?

2人の姿が見えないところに隠れている私は、表情や仕草を見る事ができず、発する声を待つしかなかった。

「ごめん。」

「え…?」


「オレは、結愛の事が好きなんだ。」



その言葉に、私の目から涙が零れた。

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